株式投資の要は、正確な財務諸表の分析にある。しかし、財務諸表の数値が誤っている場合、どれだけ分析が優れていても正確な結果は得られない。例えば、親が子供の成績表を完璧に暗記しても、子供が成績表を偽造していれば無意味である。このように粉飾決算は、投資家にとって致命的な問題となる。
粉飾決算の実態
企業の財務諸表管理方法
ファンドマネージャーがウィンドウドレッシングで収益率を管理するように、企業の経営陣も財務諸表を適切に操作して見栄えを良くすることが多い。例えば、利益が多すぎる場合、次の利益が少ないときに補填するために一部を隠すことで、安定した収益を創出しているように見せかける。こうしてきれいに整えられた財務諸表を通じて、株主は会社が堅実に経営されていると誤解し、投資家は喜んで投資資金を提供する。
粉飾決算の一般化
初めて財務諸表に接する投資家は、粉飾決算が稀な行為だと思いがちである。しかし、現実は異なる。国内最大の企業であるサムスン電子も合法的な粉飾決算で有名である。彼らは会計処理方法を変更し、利益を必要に応じて調整してきた。アメリカのマイクロソフトも粉飾決算でよく知られている。このような世界的な企業ですら粉飾決算を行っている状況で、他の企業はどうだろうか?
会計法人の役割と限界
会計法人の会計監査
会計不正を監視するのが会計法人の役割である。しかし、会計法人による会計監査には元々限界がある。監督当局が各企業ごとに会計法人を強制的に割り当てるのではなく、企業自身が担当会計法人を選択するからである。これは警察が容疑者から給料をもらいながら捜査を行うようなものである。経営陣が財務諸表を調整して目標を達成しようとする際、頑固な会計法人が妨害すると、企業はその会計法人に監査を続けて依頼しないだろう。
会計法人の専門性の限界
油田開発会社の場合、会計法人が地下や海底の原油埋蔵量を計算することは不可能である。どれだけ有能な会計法人であっても、すべての産業を完璧に理解することはできず、IT企業の技術開発状況を理解するには限界がある。そのため、企業が意図的に会計法人を欺くことは難しくない。
投資家の役割と粉飾決算の探知
会計監査への信頼の喪失
会計法人の監視下にありながら粉飾決算を行う企業を何度も経験した投資家は、会計監査に対する信頼を失う。財務諸表の分析に自信を失った株式専門家も、粉飾決算の可能性が高い企業の条件を講義し始めた。しかし、財務諸表分析の専門家である会計士が行うべき仕事をなぜ投資家がしなければならないのか?会計士が知らないような単純な事項を投資家が探し出すことがどれほど効果的だろうか?
財務諸表の信頼性問題
財務諸表から粉飾決算を見つけようとする投資家に問いたい。「もし企業が粉飾決算をしていないとしても、会計法人を信じられないなら、承認された財務諸表の数字をどう信じるのか。そして会計法人を信じるなら、なぜ承認された財務諸表から粉飾決算を見つけようとするのか?」
結論
投資家が粉飾決算を見抜かなければならない理由は、財務諸表の信頼性に対する根本的な疑問に起因する。しかし、これは会計法人と企業経営陣の責任であり、投資家が代わりに行う必要はない。投資家は財務諸表の信頼性を確保するために、会計法人と企業経営陣に透明性を求めるべきである。